卒業生の声
卒業生の声
※以下に掲載している卒業生の情報は、取材時のものです。
考える時間と場を与えてくれた神学部
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榎本 空さん 神学部2011年卒業/神学研究科2014年修了
私は大学院に在学中に台湾の長栄大学に留学し、そこからC.S.ソン先生の勧めでニューヨークにあるユニオン神学校で学びました。ここで出会った黒人神学者のジェイムズ・コーン氏の著書『誰にも言わないと言ったけれど』を翻訳・出版しました。現在はノースキャロライナ大学人類学部の博士課程に籍をおきながら沖縄の離島である伊江島に居を構え、人類学の側面から島の歴史、文化などを研究しています。「沖縄の縮図」ともいえる伊江島の歴史とそこから紡ぎ出されてくる言葉は、自分が学んできた黒人神学のそれと大いにつながっていると感じています。在学中は神学部にそれほど積極的には関わっておらず、反発もしていたと思います。でも、神学部はそういう人間を許容してくれる学部ですし、考える時間と場を与えてくれたことは良かったと思っています。(榎本さんが2023年に翻訳されたサイディヤ・ハートマン著『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』は第10回日本翻訳大賞を受賞されています。)
イスラーム学を研究してNHKの記者に
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木元 花さん 神学部2022年卒業
私は高校の学習などからイスラーム教に興味を持ち、神学部に入学しました。学部では、現代イスラーム主義運動に大きな影響を与えたエジプトの思想家について研究し、卒業論文を書きました。その後、早稲田大学大学院に進み、イスラーム主義とその影響に関する研究を続けて修士課程を修了しました。今は、NHKに就職して佐賀放送局に配属され、新人記者として警察への取材や地域のニュースを担当しています。将来は中東の報道に携わりたいと思っています。神学部でキリスト教やユダヤ教を中心に学ぶ学生たちと交流しながらイスラーム教を学んだことで思想や価値観の多様性を知り、それは、パレスチナなどでの紛争を多角的に捉えることにもつながると思います。一神教三宗教に関する学びをとおして、自分の当たり前が当たり前でないことも多いことに気づかされたことは、今の佐賀での取材にも活かされています。異なる環境にある人たちの考えを考えてみたい人には、神学部の受験をお勧めします。
トランスジェンダー俳優として生きる
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若林 佑真さん 神学部2014年卒業
私は女性の体で性自認は男性というトランスジェンダーです。現在はトランスジェンダー俳優として、俳優活動、舞台のプロデュース、映画やドラマのジェンダー表現に関する監修を行っています。最近も2024年3月公開の『52ヘルツのクジラたち』という映画の中でトランスジェンダーの役があって、俳優さんとその役について考えたり、脚本の監修をしたりしました。神学部の4年次生のときにゼミ旅行でサンフランシスコの教会へ行ったのですが、そこで出会った、第二次世界大戦中に収容所キャンプで大変な経験をされた92歳の日系人のご婦人が「でもね、世界は本当に広い。世界を見てください。人生は本当に楽しいから」と言われた言葉を今でも信じて生きていきたいと思っています。神学部は本当に自由で、ときに「途中下車」ができる学部だと思います。
ホテル事業という牧会 ―ホテル エクレシア―
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後宮 嗣さん 神学研究科2023年修了
私は北海道で牧師の家庭で育ちました。大学院に入る前に、商社で10年間勤めていた経験がありましたから、その経験を活かして現在は日本基督教団世光教会に伝道師としての籍を置きつつ、吉岡恵生先生と一緒に「グレープヴァイン」という会社を立ち上げ、キリスト教をベースにした事業を展開しています。この会社ではキリスト教の葬儀を宣教の手段として広げていくような働きや、宣教の業を裏方としてバックアップしていけるような組織作りに取り組んでいます。ホテル「エクレシア」の1階で展開している一般社団法人「みおつくし」もその一環の事業で、一人でがんばっておられるシングルマザーの皆さんが、ここでは弱さを曝け出し、一つの場所で共に暮らし、相互扶助していかれるようサポートをしています。私が神学部で学んだ実践神学がこうした今の取り組みの基礎となっていると思います。
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吉岡 恵生さん 2008年神学部卒業/神学研究科2010年修了
私は神学部を卒業後、東京やアメリカの日系教会の牧師を経て、現在日本基督教団高槻日吉台教会の牧師をしています。それと並行する形で、後宮嗣先生と一緒に「グレープヴァイン」という会社を起こして様々なキリスト教に関わる事業に取り組んでいますが、特に今は、1階のシングルマザーのシェアハウスを上階のホテル事業の収益で運営するという仕組みのホテル経営を中心的に行っています。牧師といえば教会の中でだけ働くように思われがちですが、教会の中でじっと待っているだけでなく、こうした事業を行うことで、外に打って出ることも大切だと感じてきました。それは新島襄の精神にも通じるところがあると思います。神学部で学んだ経験がこうした今の自分の多様な働き方を支えてくれています。
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